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茶の湯の意匠―春から夏へ

2024年4月19日(金)~6月23日(日)
月曜休館 ※4月29日(月)、5月6日(月)は開館

展覧会概要

中国より請来された喫茶の風習は、日本人の美意識を反映しながら茶の文化をつくりあげました。江戸時代になると、亭主は四季の風情に合わせて茶道具を取合せたり、季節の花を活けたりして茶席を飾り、客をもてなします。本展では、萌えいづる草花を愛でる春から、若葉薫る初夏を経て、涼を求める夏へ、うつろう季節を思い浮かべながら作品を選びました。茶道具にうつる四季の意匠を通して、それぞれの季節を感じていただければと思います。

第1章  うららかな春

春といえばうららかな陽気のなか、桜や菜の花などの花ざかりである頃を思い浮かべます。茶の湯では、初釜で新春を寿ぎ、立春から春の訪れを感じる仲春、春爛漫の晩春へうつろう季節のなかで、萌えいづる草花を愛で鳥の鳴き声に風情を感じながら、あたたかな気候とともに茶を楽しみます。初釜ではめでたく晴れやかな茶道具が用いられ、春めくにつれて華やかで軽やかな趣向で作品が取合せられます。「春告草」などと呼ばれる梅花に見立てられた「黒楽茶碗 銘 此花」をはじめ、春らしい花鳥で彩られたものなど、うららかな春の茶席をかざる作品をご覧いただきます。

桜・桃・海棠図屏風 八曲一隻 伝 狩野長信 江戸時代 出光美術館 [4/19~5/19展示]

黒楽茶碗 銘 此花 道入(ノンコウ)
江戸時代前期 出光美術館

第2章  涼を求める夏

夏といえば厳しい暑さばかりが思い起こされますが、若葉の緑が目にあざやかで薫風さわやかにそよぐ初夏にはじまり、雨がそぼ降る梅雨、暑さ厳しい盛夏を経て秋の気配が感じられる晩夏まで少しずつうつろいます。そのなかで、流れる水やそよぐ風、種々の虫の音に耳を傾け、涼を求めながら茶の湯を楽しみます。とくに夏は日中の暑さを避けて涼しい早朝に朝茶がひらかれたり、清々しく涼味の感じられる茶道具が用いられたりします。青色が魅力的な染付や青磁、水流や季節の草花があしらわれたものなど、暑い夏を忘れさせるような涼しげな作品をご紹介します。

八ッ橋図屏風 左隻 酒井抱一 江戸時代 出光美術館 [5/21~6/23展示]

青磁浮牡丹不遊環耳花生 龍泉窯 中国
南宋時代~元時代 出光美術館